「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。」
- 石川 光春
- Jul 14, 2019
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「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。」
一見、当たり前のことが書かれているように見過ごしかねないこの一文ですが、これは2012年に作成された自民党の憲法草案において、国民に「憲法尊重擁護義務」を課すというもので、
第百二条 全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。
という条文として登場した一文です。
当時これを目にした時の驚きは忘れられず、さらにこれがこれまでの7年間ずっと公開され続けられていることに、恐怖すら覚えます。
そもそも憲法は、権力者が権限を濫用して民の権利、自由を侵害することを防ぐために生まれたものです。中世の時代にヨーロッパでは教会が、日本では武家が暴君振りを発揮したように、人間社会は権力者のありかたによって多くの犠牲を伴うという歴史を体験してきました。
その反省から、あるいはそこからの進化を目指して生まれた基本法が、国家、あるいは支配者権力を制限する憲法に他なりません。
すなわち、国民が国家権力を制限しようとする要請で存在している憲法なのに、国民に尊重擁護義務を負わせるという、憲法の存在理由を全く逆にしてしまうこの条文。
こんな支離滅裂を公言する政党が存在することが残念ですが、何れにしても、そのような政党に国政を任せられるわけがありません。選挙で然るべき結果が出ることを祈ってやみません。
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